本研究の目的は、ビジュアルサーチにおける眼球運動を定量的に解析することであった。平成11年度においては、顔画像、風景画のような具体的な意味のある画像と単純な幾何学模様などの無意味な画像を刺激画像として、ある時間で被験者に呈示して、被験者の眼球運動の時系列データをアイトラッキングシステムで採取し、刺激呈示間の眼球運動の水平成分、垂直成分及び1秒あたりの停留回数を被験者ごとに分析を行った。データを採取するに当たって、移動の利便性があるノートパソコンと同じ学科にある別な研究テーマで申請した設備であるアイトラッキングシステムを利用した。本研究では、実験を通して、眼球運動の動的特徴と個人の固有特徴との関連性を確立モデルで調べた。結果としては、人の視線移動にある程度の個人差、固有性があることが判明した。これ単独で人の認証には至らないが、将来人の別な静的特徴(顔、声)などと合わせて、複製されにくい個人認証システムの開発に応用する価値があると思われる。
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