研究概要 |
問題環境を制御することによって効果的に学習が進む,進化的学習アルゴリズムに関する研究を行なった.制御の方法として,問題の持つ大域的な情報と学習する各個体の情報の相互関係を利用する方法,進化の状況,すなわち現時点での進化の進み具合を用いる方法,また,積極的な制御を行なわず,共進化的な環境に置くことで自動的な制御が行なわれるようにしくむ方法を研究した.研究の成果は次の5項目である.これらを環境制御の観点から総合的に分析することは,今後に残された. (1)競合的あるいは協力的環境における最大効用を実現するために,ゲーム理論的な枠組を用いて,安定的に協力的振舞いを実現するための進化的学習手法を,実験および解析的に研究した.(第1論文) (2)合い競い合う2つの問題を設定する共進化によって,適応度関数を自動的に更新することが可能となる.共進化環境を効果的に実現するための研究を生態系の模倣を例に取り上げて研究した.(第2,3,5論文) (5)工作機械の異常を間接的なセンサー情報から識別する問題について,進化学習手法を適用し効果を見た。(第4論文) (3)複数の因子によって構成される系全体の進化を目的とする問題において,各因子の効果と全体の効果が必ずしも一致しない場合について,効果的な進化アルゴリズムを研究した.(未発表) (4)段階的な副目標が設定できる問題において,副目標の達成度合いに応じて動的に適応度関数を変化させることで,効率の良い進化を実現する方法を研究した.(未発表)
|