研究概要 |
本研究においては,確率的ネットワークを用いた統計的情報検索システムの構築と,現在の計算機ネットワーク環境に適応するような実用性の向上を目的としている。本年度においては,前年度に提示した,Bayesian Networkを用いたキーワード学習システムと,最大エントロビー原理を用いた統計的情報検索手法を組み合わせたシステムを基礎とし,それに関するより実用を目指し追加的機能に関する研究を行った。まずファジィリクエストの入力を,このシステムに導入する。検索者が入力すべきキーワードの有効度合い(条件付確率値で表現されている)をファジィメバシップ関数に置き換え,システムがデータから検索を行うときには,最大エントロビーをファジィ代数による直積に置き換えることで,元の統計的検索システムのファジィ化を行った。その機能によって,検索者が要求するキーワードの必要度合いを確定的な数値で入力する元のシステムに対し,より柔軟な情報検索が期待される。あいまいさを数値的に扱うことを目的とするファジィを統計的システムと共存させることで,検索者が統計的システムの場合には入力として用いないキーワードの必要度合いを,自然に検索条件に加味させることで改良を行い,検索の柔軟さを獲得している。 その他,確率的ネットワークの理論的研究として,確率的ネットワークという意味で結びつきがある多層パーセプトロンにおける汎化能力を高める学習に関する基礎的結果も得た。それは,ニューラルネットワークの学習で用いられる構造化学習の代表的手法である正則化学習の形式を持つもので,統計モデルの分散が付加項に組み込まれた学習方法である。この方法は,文献データが少ないときのキーワードネットワークの学習に寄与すると考えられる。
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