研究概要 |
これまでの実験からアネキシンVIを発現する細胞、およびアネキシンVIを強制発現させたトランスフォーマントはコンドロイチン硫酸鎖と特異的に結合すること、アネキシンVIが細胞表面に存在することより、アネキシンVIがコンドロイチン硫酸鎖のレセプター様分子として機能することを報告してきた。しかし、これまではアネキシンVIとコンドロイチン硫酸鎖が直接結合していることを調べることが出来なかった。そこでBead法を用い、コンドロイチン硫酸鎖とアネキシンVIが直接結合しうるかを検討した。フィブロネクチンをコートしたBeadではインテグリンの他、細胞内情報伝達に関わる様々な分子も集積したが、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンPG-MをコートしたBeadには予想に反し、レセプターとして機能すると考えたアネキシンVIの集積を観察察することが出来なかった。元々、コンドロイチン硫酸鎖とアネキシンVIの結合力は弱いため、この手法では解析することが困難であるのかもしれない。またコンドロイチン硫酸鎖が示す抗-細胞接着を打ち消す薬剤を探すため、種々のキナーゼの阻害剤(HA1004,KT5823,KT5926、Calphostin C,PMA,Bombesin,Genistein)、細胞増殖因子(EGF,bFGF)、細胞骨格に影響を与えるLPAなどを用いて検討したが、いずれも影響がなかった。このことはコンドロイチン硫酸鎖が示す抗-細胞接着活性は細胞内情報伝達に影響を与えるというより、むしろ細胞膜の状態を変えることで細胞接着を阻害することを示唆しているのかもしれない。現在、コンドロイチン硫酸鎖とアネキシンVIが直接結合しているかどうかを検討するため、光架橋剤やGFPを用いた手法で検討中である。
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