研究課題/領域番号 |
10780392
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
中村 寛夫 理化学研究所, 生体物理化学研究室, 先任研究員 (80270594)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 酸素センサー / ヒスチジンキナーゼ / 情報伝達系 / ATP / ADP / アロステリックエフェクト / 2成分系 / ヘム |
研究概要 |
酸素適応はすべての生物がもつ細胞応答現象であり、酸素センサーとそれに続く情報伝達系によって支配されている。根粒菌のFixL/FixJタンパク質はtwo component systemに属し、酸素濃度変化をタンパク質リン酸化カスケードを介し伝達することで窒素固定系、嫌気呼吸系遺伝子群の発現制御をおこなう。FixLタンパク質はヘムドメインとヒスチジンキナーゼドメインからなり、センサードメインのヘムで酸素の結合、解離により直接酸素濃度を感知する、文字通り酸素センサーとして明らかとなった唯一のタンパク質である。申請者は 【1】センサータンパク質の初発過程であるリガンド結合を理解する目的でFixLのセンサードメインの全体構造、およびヘム周辺の精密構造の解析を行なった。 【2】大腸菌内で好気および嫌気培養の違いでFixL/FixJ信号伝達系の作動状態をβ-ガラクトシダーゼ活性の変動でモニターできる再構成系をもちいて、FixLタンパク質におけるリガンド結合/解離にはじまる自己リン酸化制御の分子機序明らかにするためにupregulation変異体を単離した。生化学、物理化学的解析により、自己リン酸化部位周辺がキナーゼ活性の卸御およびFixJへのリン酸基転移反応の共役部位であることを明らかにした。 【3】ADPがアロステリックエフェクターとしてFixLタンパク質の酸素親和性を1/4-1/5に低下させることを発見した。また、ADPはリン酸化触媒部位に結合すること明らかにした。FixLタンパク質はホモダイマーでモノマー間のトランスのリン酸基転移によって自己リン酸化されるので、ADPによる親和性の低下は酸素解離によって始まるモノマー間のフリップフロップリン酸化反応を促進させるポジティブフィードバックレギュレーションであると結論した。
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