研究課題/領域番号 |
10780397
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鷲見 正人 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (30281819)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | レチナールタンパク質 / 古細菌 / 光受容タンパク質 / プロトン輸送 / 高度好塩菌 / フォボロドプシン / 光センサー / プロトンポンプ |
研究概要 |
高度好塩好アルカリ性菌N.pharaonisのフォボロドプシン様タンパク質、ファラオニスフォボロドプシン(ppR)を大腸菌の膜に発想させた組換え体を用い、次のようなことを明らかにした。 1.プロトン輸送能 好塩菌にはバクテリオロドプシン(bR)、ハロロドプシン、センソリーロドプシン、そしてフォボロドプシン(pR)という4種の類似だが機能の異なるレチナールタンパク質の存在が知られている。すでにpRを除く3種のレチナールタンパク質には光駆動型プロトン能動輸送能を保持することが分かっている。本研究では、ppRを発現させた大腸菌膜ベシクルに光を照射し溶媒中のpH変化を測定することによって、ppRにプロトン輸送能があることをはじめて確認し、存在が知られている4種すべてのレチナールタンパク質には潜在的にプロトン輸送のためのメカニズムが保存されていることを示唆する結果を得ることができた。 2.吸収波長に影響を与える残基 pR、ppR以外の3種のレチナールタンパク質に対し、同グループのタンパク質の吸収極大は低波長側にシフトしている。一次構造など大きな差異の見られないタンパク質間で、どのような吸収波長の違いがどういった仕組みで起こるのか興味が持たれている。本研究では、3種のタンパク質で共通し、pR/ppRでのみ異なる残基、3カ所に注目し、そのアミノ酸を置換することで組換え体の吸収波長がどのように変化するかを調べた。その結果、残基を他の3種のものと同一にした場合、その吸収波長は予想通り長波長側にシフトするものの、その幅は比較的少ないことが分かった。このことはpR/ppRの他との吸収波長の違いは、視物資などで論じられているわずかなアミノ酸置換やその静電的な寄与の変化ではなく、レチナール分子を取り巻く環境を構造的に変化させる要素も加わっていることを示唆する情報を得ることができた。
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