研究概要 |
1.昨年シグナルトラップ法により選別した7クローンのシグナル配列のうち2クローン(S118,F103)の全長cDNAをライブラリーからクローニングした。S118の全長は1500bpで単一のオープンリーディングフレームが見られ、シグナル配列が予想されるアミノ酸配列のN末端に確認されたが、配列全体では既知の遺伝子との相同性は見られなかった。一方F103全長は2000bpでオープンリーディングフレームが検出されたが、予想されるアミノ酸配列中にシグナル配列は見られなかった。配列を詳細に検討したところ、シグナル配列はcDNA中に逆向きに挿入されていた。おそらくF103は、スクリーニングの際に逆向きにベクターに入り、偶然疎水性のアミノ酸として翻訳されシグナル配列として働いたと考えられる。このようなクローンが他にも存在すると考えられ、別の方法でさらなる絞り込みが必要と考えられる。現在、S118については全長cDNAを発現ベクターに組み込み、COS細胞に導入・分泌タンパク質を作製中である。 2.7クローンの精原細胞期での発現が下垂体ホルモンのFSHによってコントロールされているかどうかを調べるために、精原細胞の精巣断片をFSH存在下で一週間培養してその過程での発現変化をモニターした。クローンの特異的プライマーを設計し、0,1,3,5,7日目の精巣断片から調整した総RNAを鋳型としてRT-PCRをおこなった。その結果、S61がFSHによって発現が誘導され、5日後発現が減少することがわかった。また、S118は1日目に発現が増加して以後徐々に減少した。今後は、FSHによって発現制御をうける遺伝子を優先的に解析していく予定である。
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