研究課題/領域番号 |
10780489
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐原 成彦 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40261185)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 家族性アルツハイマー病 / プレセニリン1 / 神経細胞死 / FTDP-17 / タウ / アポトーシス / アミロイドβペプチド |
研究概要 |
本研究では、家族性アルツハイマー病(FAD)の原因遺伝子産物として発見されたプレセニン1(PS1)を研究対象の中心において、ADにおける選択的神経細胞死のメカニズムを解明することを目的とした。さらに最近、第17染色体遺伝子に連鎖したパーキンソニズムを伴う家族性前頭側頭葉型痴呆(FTDP-17)の原因遺伝子としてタウの変異が同定されたことから、この2つの痴呆疾患で共通に起こる神経細胞死の経路を同定しようと試みた。 平成10年度は、生体脳内においてPS1変異とAβ42分子種産生増加との関連性を明らかにした。また、ヒト以外にウシ、マウスのプレセニリン遺伝子をクローニングし、プレセニリンホモログの系統発生学的解析を行いFADにみられるミスセンス変異のアミノ酸部位が保存されていること、生体内で断片化して存在するプレセニリン蛋白質の切断部位近傍のアミノ酸配列は種を越えて保存されていることなどが明らかにされ、プレセニリン研究における発生生物学的研究の重要性があらためて浮き彫りにされた。平成11年度は、FTDP-17において同定されたアミノ酸置換型変異タウを用いて細胞生物学的検討を行った。その結果、2種類の変異型タウ(Val337Met,Arg406Trp)が、微小管ネットワーク構築を阻害すること、その効果は、3つの微小管結合部位をもつ短いタイプのアイソフォームでのみ見られることなどが明らかにされ、タウのアミノ酸置換が直接微小管ネットワーク構築を阻害することによって神経細胞死が起こる可能性を示した。 本研究課題の成果は、変異型プレセニリンと変異型タウのそれぞれの機能の一端を明らかにしたことであり、タウの脳内蓄積という点でFTDP-17と共通項を持つADにおいてもプレセニリンとタウを介した神経細胞死の経路が存在していることが予測される。
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