研究概要 |
本研究は、細胞外刺激により産生されるイノシトール3リン酸(IP_3)の結合により開口するIP_3受容体(IP_3R)/Ca^<2+>放出チャネルの、チャネルポアを形成する領域、および四量体会合に関与する部位の同定を目的とし、以下の成果を得た。 1 IP_3Rはほとんぼすべての細胞に発現していることから、これまで人為的に発現させたIP_3Rのみの性質を測定することは困難であった。本研究では、これまでに知られている3種類のIP_3Rサブタイプすべてについて遺伝子ノックアウトを施したDT-40細胞に、外来性のIP_3R遺伝子を導入し、安定にかつ大量の受容体タンパク質を発現する細胞株を得る方法を確立した。また、IP_3産生を引き起こすBCR刺激により、IP_3R遺伝子を導入したノックアウト細胞で細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が見られ、この結果により外来性に発現させたIP_3Rが細胞内で正常にCa^<2+>放出チャネルとして機能していることが確認された(投稿準備中)。 2 IP_3Rは細胞内小器官上に局在するチャネル分子であるために、パッチピペットを適用することが出来ず、通常のパッチクランプ法によるチャネル電流の測定が出来ない。本研究では、マイクロソーム画分を用いて、高頻度にIP_3Rチャネルを人工脂質二重膜に再構成する系を確立し、IP_3Rの電気生理学的測定を可能とした(Michikawa,T.,et al.,Neuron,1999)。 以上本研究により、人為的に変異を加えたIP_3Rの性質を電気生理学的に測定する系が確立された。
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