研究課題/領域番号 |
10780497
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
北間 敏弘 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60272902)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 小脳片葉 / 眼球運動 / 視運動性眼球運動 / サッケード |
研究概要 |
ネコ小脳片葉吻側ゾーンのプルキンエ細胞(P-cell)活動を記録し、水平・垂直性視運動眼球運動(OKR)に対する応答を調べた。P-cellの複雑スパイクの応答の垂直刺激に対する方向選択性から、吻側ゾーンP-cellを同定した。単純スパイク(SS)頻度がOKRのいかなる運動情報を符号化するかを重回帰分析法を用いて調べた。SS頻度は垂直性OKRの眼球速度および加速度情報を符号化し、眼球の粘性および慣性ダイナミクスの制御に関与することが示された。発射頻度は眼球運動に先行した。上下方向のOKRで回帰係数の非対称性が認められた。ネコのOKR自体に非対称性が認められたが、これまで詳細な報告はないため、垂直性および水平性OKRの相違を定量解析した。水平、上下の順で反応利得は減弱した。眼球速度蓄積機構の関与の程度が異なるためと推測された。吻側ゾーンが垂直方向の上向きと下向きの各々の運動に関する量的に異なった情報を伝えて制御を行うことが示された。以上のOKRの緩徐相に対する反応は急速相のない条件下で調べた。前年度、中間ゾーンP-cellのSS頻度が明所下のサッケードに応答することを見出しており、OKRおよび前庭性眼振の急速相においても反応するかどうかを調べた。その結果、明所下のサッケードと同様に、急速相に対してもサッケードと同様な一過性の活動変化(増加または減少)を示すことが明かとなった。その活動変化はサッケードの場合と同様に眼球運動の開始とほぼ一致して認められた。また暗所下での応答を調べると、明所下の応答より弱い傾向が見られた。以上から、OKRの全ての位相に対して運動ダイナミクス情報を伝える小脳片葉は、サッケードおよび急速相においては運動開始以後の制御に関与すると結論された。運動の種類による位相依存的な運動制御機構の存在が示唆された。今後はOKRから求めた眼球運動ダイナミクスがサッケードおよび急速相においても適用できるかどうかを検討する予定である。
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