研究課題/領域番号 |
10780499
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉野 恵子 (冨永 恵子) 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60256196)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 脳切片培養 / シナプス新生 / 可塑性 / アデノウイルスベクター / 生体染色 |
研究概要 |
本研究では神経細胞シナプス可塑性の長期的な相(LTPは短期的な相だと考えられる)で起こると考えられているシナプス新生などの形態変化を海馬切片培養を用いて観察し、長期記憶のモデル系の確立を目指す。LTP誘発刺激には刺激後も長期間培養するため、forskolin(アデニレートシクラーゼの刺激薬)投与を用いた。まず、軸索の骨格蛋白であるneurofilamentと樹状突起棘に存在する蛋白であるdrebrinのforskolin刺激後の発現量の経時変化をウエスタンブロティングにより調べた。neurofilamentは刺激3日後には一旦減少するが、その後対照群に比べて顕著に増加し、7日後をピークとして約一ヶ月後には対照群と同じレベルに戻った。一方、drebrinは刺激3日後から7日後にかけて増加していたが、その後減少し、2週間後には対照群と同じレベルに戻った。このことから刺激直後からポストシナプス部位は増加し、軸索発芽はそれに遅れて始まると考えられる。次に、これらの蛋白の量的変化が機能的なシナプスの増加を伴うのかどうかを調べた。海馬切片培養のCA3-CA1シナプスに注目し、CA3錐体細胞層を電気刺激し、CA1錐体細胞層で記録される興奮性シナプス後集合電位(fEPSP)を細胞外記録電極で測定した。刺激7日後にfEPSPの振幅を対照群と刺激群で比較すると、刺激群の方が有意に大きかった。この増大は2週間後にはほぼ対照群レベルに戻った。したがって、刺激直後のLTP誘発時のfEPSPの増大は今までの報告通りPKAという既存の装置の活性化によるものであるが、刺激後長期に渡って起こるfEPSPの増大はシナプスの絶対数が増加したことによるものと考えられる。
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