研究課題/領域番号 |
10780505
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
畠中 由美子 理研, 研究員 (40271548)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 神経発生 / 海馬 / 領域特異的 / 海馬采 / グリア細胞 |
研究概要 |
前脳の形態形成のメカニズムを解析する目的で発生期のラット終脳から領域特異的に発現する遺伝子を検索し、M1遺伝子を得た。この遺伝子は海馬原基のうち最も腹側の海馬采の位置で発現している。このM1遺伝子の機能を調べるため、本年度はペプチド抗体によるM1蛋白質の分布の解析、M1蛋白質発現CHO細胞の樹立、全長M1蛋白質に対するポリクローナル抗体の作成および機能中和モノクローナル抗体作成を試みた。 ペプチド抗体でその分布を調べると、M1蛋白質は、胎生12日から海馬原基の細胞膜で発現が認められた。M1発現細胞は非神経細胞であり、radial gliaのマーカーであるネスチン抗体で陽性になることから、radial gliaのsubtypeと考えられた。また、その免疫反応は神経管表層に長く伸びるendfeetに強く、これと接する海馬神経細胞との相互作用が考えられた。海馬采が形成されていく過程で、免疫陽性像は海馬采にも観察されるようになった。M1を安定に発現するCHO細胞の上で、海馬神経細胞を培養したところ、コントロールのCHO細胞に比べ、神経細胞の生存率と神経突起の伸びがよくなる傾向がみられたが、まだ結論には至っていない。大腸菌発現系では、チオレドキシンを利用することにより可溶性グルタチオンSトランスフェラーゼ融合M1蛋白質を得ることに成功したが、回収量が微量であった。ウサギに免疫してポリクローナル抗体を作成することは断念し、モノクローナル抗体作成にしぼって組換えM1蛋白質および、M1発現CHO細胞をマウスに免疫する抗体作成を試みたが、いずれも作出には至らなかった。抗体による機能解析は難しいと判断し、M1を神経管全体に異所的に発現させ、海馬采一脳弓系形成への影響を解析することにした。現在ネスチンのプロモーター下にM1遺伝子をつないだ構築系でトランスジェニックマウスを作成中である。
|