研究概要 |
1. 今年度の成果 平成10年度における研究計画では,(1)ピエゾアクチュエータ型力学的刺激装置を作製すること,そして(2)ひずみ量を変化させた場合の培養骨芽細胞の活性変化を調べることを目的としている.(1)に関しては,装置の改良とその評価が行われ,実験の使用に耐えうる十分な性能の力学的刺激装置を完成させることができた.完成した装置では,アクチュエータにバイモルフ型のピエゾ素子を用いることで,振幅が200〜40,000μstrain.繰り返し周波数がDC〜100Hzのひずみを力学的刺激として培養細胞へ与えることを可能とした.これは,実際の生体内の骨に作用するひずみ振幅および周波数範囲を十分網羅する量である.さらに本装置は,コンピュータ上で合成された任意波形を刺激として再現でき,このような点も含め,従来装置にはない優れた機能を有していると言える.(2)に関しては,未だ十分な知見は得られていない.現段階では,樹立細胞株(MC3T3-E1)に対し静的ひずみを与え,その際の細胞のひずみの計測と形態変化の観察を位相差顕微鏡および画像処理システムを用いて行っている段階である.このような実験により,与えたひずみ量と実際の細胞のひずみには約7%の違いがあることがわかり,細胞レベルのひずみの評価と制御という問題をクリアすべく現在検討中である.
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