研究概要 |
昨年度使用した3TのMRI装置は昨年度中に静磁場強度の不均一性を含めいくつかの問題点が指摘され,静磁場補正システム,勾配磁場システム,コンピュータシステムが業者により全て刷新された.昨年度作成した超高速磁気共鳴分光画像化法の磁場系列のプログラムは新しいシステムでは動作しないので,まずプログラムの新システムへの適合を計った.さらに昨年度水抑制の不完全さならびにボクセル間の信号混入の影響があった点を鑑み,水抑制パルス及び体積励起パルスの付加を行い信号検出効率を改善した. また昨年度作成したバードケージ型プローブコイルは銅箔テープの貼り付けの方法に起因する画像強度のむら,可変コンデンサによる磁化率アーチファクトならびに動作不安定性が問題であった.本年度はこれらの点を改善するために,まずコイルの回路パターンの展開図を銅薄膜フィルム上に転写し,これをエッチングした後土台となるアクリル円筒にフィルムを巻きつける方法を採った.さらに可変コンデンサを調整後これをチップコンデンサに置き換えた.これらの結果,コイル特性は著しく改善した.家兔頭部用ならびに下腹部用として直径12cmならびに20cmのコイルを作製し撮像を試みた結果,各々の部位の組織の解剖学的構造を鮮明に可視化した画像を得ることができた. 以上の成果の組み合わせとして,家兔頭部用コイルを用いた超高速磁気共鳴分光画像化法を試みようとしたが,現在MRI装置自体のトラブルのためまだスペクトル分布を得るに至っていない.しかしながら,ソフトならびにハードウエアの現在の到達レベルから考えて最終目標の達成は間近であると思われる.この2ヵ年の研究で得た成果を基にさらに検討を重ねる所在である.また本研究で作製したコイルは3TのMRI装置を利用した小動物実験ならびに人体の局所部位の撮像に一般に使用できるため今後の関連研究に役立てる次第である.
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