研究概要 |
本研究は,都市内の主要4街路を対象に街路構成要素である都市環境装置の分布に関する実態調査を行い,装置類の空間・情報・時間系の種類別及び街路別の定量化(100mあたりの装置基数)による比較分析を行った。分析の結果,街路別に装置の種類別の分布特性に違いがあり,その要因には街路幅員の断面構成,そして延長方向での沿道の土地利用と整備状況の違いが関係していることが明らかとなった。また情報系の装置類が歩行空間の秩序化の役割を,時間系の装置類が歩行環境の個性化の役割を主に担い,空間系の装置類は,街路に対応して秩序化と個性化の双方において役割を担うことを導いた。このことから街路の都市環境装置デザインにおいては,街路の環境特性を把握した上で連続・節景観を形成する装置に対し,秩序化と個性化のいずれかの方向から取り組むことが有効な方法となりうることを示唆した。この研究結果を踏まえ,街路における歩行者及び自転車(利用者)の行動に着目し,利用者の行動特性と街路の都市環境装置類の配置特性との関係を明らかにするために研究を進めた。そこで,広幅員歩道を有する街路調査から歩行空間形態のタイプ分けを行い,タイプ別の歩行者交通量と通行動線の調査・分析を行った。その結果街路利用者には,内的及び外的要因による「行動特性」が存在し,装置類の線状及び点状の「配置特性」などが利用者の行動に影響を与えることを検証した。この「行動特性」と「配置特性」の関係から,街路歩行空間の確保と,景観面と生活面での歩行環境形成における解決すべき課題を導いた。そして、課題解決のためには,都市環境装置デザインの装置相互を整理統合する「秩序化」の方法が,歩行空間確保の有効な方法の一つであり,また歩行環境形成においては,歩行空間形態に適応する装置などによる生活の場としての「個性化」の方法が適応できる可能性を示唆することができた。
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