研究課題/領域番号 |
10836003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
自然史科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 正人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 進化 / 温帯適応 / 休眠 / 耐寒性 / 生態 / 抗菌ペプチド / 高温耐性 / 体眼 / 食物選好性 / 分子系統 |
研究概要 |
温帯性ショウジョウバエは、他の多くの温帯性昆虫と同様、熱帯、亜熱帯に起源すると考えられている。熱帯から温帯への進出においては、キノコ食と腐葉食のショウジョウバエが有利であったと考えられた。果物食のキイロショウジョウバエ種群においては、タカハシショウジョウバエ及びトラフショウジョウバエ種亜群は温帯への進出に成功した数少ないタクサである。これら種亜群に属する種の進化過程を分子情報から推定した結果、少なくともトラフショウジョウバエ種亜群では、熱帯、亜熱帯の低地から、亜熱帯の高地に一度適応し、そこから温帯に進出したと考えられた。次にこれら種亜群の温度適応を比較したところ、亜熱帯高地種と温帯種は共通して比較的低温でも成長が可能であり、この性質が温帯へ適応するための前適応となったのではないかと考えられた。しかし、亜熱帯高地種は亜熱帯低地種と同じく耐寒性が低く、また休眠を持たない。従って、亜熱帯高地から温帯への進出には生理的、遺伝的に大きな変化が必要であったと考えられた。温帯種の持つ休眠には、生活史をそろえる、ストレス耐性を上げる、という意義があることが知られていた。本研究では、さらに、休眠に入ることにより細菌やカビなどへの抵抗性を高めていることが示唆された。これら温帯性ショウジョウバエの多くは多化性で短日条件で休眠に入ることが知られている。一方、一化性のタカネショウジョウバエ、キボシショウジョウバエは短日休眠に加え、長日でも休眠に入る機構を持っていることが明らかになった。これらの種は多化の種と同じく短日休眠の機構を持っていることから、祖先は多化であったが、長日でも休眠に入れる機構を進化させ一化性になったと考えられた。
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