| 研究概要 |
脳卒中による運動麻痺患者のリハビリテーションにおいて,非侵襲脳機能計測を用いた脳機能評価を行い,実際の運動機能における顕著な改善が認められる以前に中枢神経系で生じている可塑的変化を捉え,トレーニングの目標設定の明確な基準としたり,リハビリテーションの評価に役立てることは有意義である。発症機序や病巣の部位,大きさ,あるいは年齢などによっても予後がさまざまである脳卒中患者において,リハビリテーション過程における客観的な脳機能評価は予後診断としても重要である。
そこで本研究では,運動麻痺患者を対象に,より的確な脳機能評価を行うために,経頭蓋的磁気刺激法を用いた経時的な病態の把握と,さらに磁気刺激法の積極的な治療法としての応用を確立することを目的とした。
脳卒中後運動機能障害におけるリハビリテーション過程において,経頭蓋的磁気刺激法による脳機能評価を行った。その結果,単純な手指運動における側性化(ラテラリティー)の存在とその重要性を示すことができた。また,経頭蓋的磁気刺激法はトレーニングにおける評価および予後診断として有用である可能性が示唆された。また,刺激直後の高次脳機能への影響を全く認めないことから,脳卒中後運動機能障害患者に対して安全に行えることが示された。
|
