研究分担者 |
余 永 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20284903)
辻尾 昇三 鹿児島大学, 工学部, 教授 (40081252)
田中 信行 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40041454)
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70295244)
末吉 靖宏 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (30196688)
橋本 稔 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (60156297)
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研究概要 |
本研究の目的は、脳卒中片麻痺下肢患者の機能回復訓練運動の反復回数増加を容易にし、促通的集中運動療法を可能にする訓練支援システムの開発を行うことである.設計・製作した訓練支援システムを用いて,鹿児島大学医学部附属病院霧島リハビリテーションセンターにおいて臨床面応用のためのテストを遂行した.その結果,以下の知見が得られた. 1.健常者および患者による本装置のフィージビリティーテストの結果、足部の位置と肢位の測定精度は,訓練・検査結果の評価に対して十分であることが判明した.ただし,下肢発揮力の測定値には,機構上の問題から若干の観測雑音の含まれることが分かった. 2.足部支持部の質量による訓練運動中の慣性抵抗,および摺動部の摩擦抵抗が重度な下肢麻痺の患者に対しては若干大きいことが分かった. 3.足部の訓練目標軌道と訓練運動実施時の患者の足部の軌跡などをCRT画面に呈示して,バイオフィードバックループを形成して治療効果を上げるためのインターフェースを工夫した.また,各種の訓練モード,検査モードを選択できるようにし,あわせて治療成績を評価するためのソフトウエアーも製作した. 4.ある程度共同運動からの分離が達成された脳卒中患者に対して,本装置を用いて頻回な自動運動訓練を行った結果,麻痺側下肢の運動コントロール機能が有意に改善されることが判明した.これは本訓練支援システムの有用性を示すものである. 5.脳卒中患者の非麻痺側下肢と健常者下肢の高度な運動コントロール能力を本装置を用いて評価した結果,脳卒中患者の非麻痺側下肢に潜在する巧緻性運動技能などの機能障害が認められ,これらの機能障害の発生メカニズムと日常生活動作能力への影響についての検討の重要性が明らかになった. 開発した訓練支援システムは,まだ若干の改良は必要なものの,脳卒中片麻痺下肢患者の多方面の訓練・評価に使用できることが明らかになった.
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