研究課題/領域番号 |
10839002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
動物臨床医学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
岡田 啓司 岩手大学, 農学部, 助手 (60233326)
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研究分担者 |
志賀 瓏郎 岩手大学, 農学部, 教授 (20003783)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 黒毛和種牛 / 子牛 / 白痢 / 母乳 / 脂肪酸 / 子牛白痢 / 母乳性白痢 / 黒毛和種子牛 |
研究概要 |
母牛の飼料を変更することによる子牛白痢の発症試験を行った。分娩直後の5頭の黒毛和種牛母子を供試し、連日、母牛の飼料摂取量、泌乳量、胃汁、血液、乳汁と子牛の血液、糞便について、子牛の白痢発症まで追跡した。その結果、子牛全頭が母牛の飼料変更後5〜7日に白痢を発症した。すなわち、デントコーンサイレージの給与開始後1〜3日に子牛の糞便が軽度に変化した(前駆症状発現日)。この前後にルーメン液中の大型・中型原虫数が増加した。この日に乳汁中Mg、Ca、長鎖飽和脂肪酸濃度が高値を示し、乳汁のpHと脂肪酸組成が不安定になった。同時に子牛の血中TGが増加し始めた。白病発症前日には、母牛のルーメンの大型・中型原虫が減少し、小型原虫が著増し、血中リン脂質(PL)、BUNが増加した。白痢発症日には大量のルーメン微生物が消化・吸収され、母牛の血液(TG、PL、糖、BUN)および乳汁(乳脂肪率、脂肪酸組成、pH)に大きな変化が生じ、これを哺乳した子牛は脂肪消化不良便である白痴を発症した。これは飼料の変更によるルーメンコンディションの変化に起因する。"母乳性白痢"であることが推定された。 そこで白痢の直接の原因と推定された長鎖脂肪酸を添加した代用乳を子牛に哺乳させ、その臨床症状、糞便中脂肪酸組成、血液性状を検討した。2〜3週齢のホルスタイン子牛20頭を5頭ずつ、無投与コントロ―ル群(C群)、パルミチン酸投与群(P群)、ステアリン酸投与群(S群)、オレイン酸投与群(O群)とした。体重の5%量の代用乳に代用乳の2%量の脂肪酸をそれぞれ添加して、試験日の朝タ2回、12時間間隔で哺乳させた。その結果、P群とO群の全頭とS群の2頭で48時間以内に白痢が発症した。血液成分では、P群とS群でTGの増加傾向を示した。またP群とS群では投与脂肪酸の排出増加による糞便中TGの増加を示し、O群では糞便中水酸化脂肪酸の増加傾向が見られた。以上の成績より、長鎖飽和脂肪酸投与による糞便性状の変化は、吸収率の悪い長鎖飽和脂肪酸の増加により、吸収できなかった脂質が水分の分泌を促進して排出されたものと推定された。長鎖不飽和脂肪酸投与(O群)による糞便性状の変化は、腸内常在菌による脂肪酸の水酸化が進行して吸収不良に陥るとともに、水分の分泌が促進されて生じたものと推定された。
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