研究課題/領域番号 |
10871002
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
中里 巧 東洋大学, 文学部, 助教授 (40277348)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 精神史 / 北欧 / スターヴ教会 / ゲルマン / ケルト / ケア / 宗教 / 哲学 / 宗教学 / 神話 / フィールドワーク / 福祉 / 神学 / 社会学 |
研究概要 |
平成10年度「基礎的文献資料の収集と「精神史」概念の概括」・平成11年度「基礎的文献資料の収集の継続と大地母神信仰の分析」をさらにまとめて集約しながら、「現代北欧人における宗教意識の古層の現在」に関する研究調査をおこなった。 主としてデンマークとアイスランドにおける高齢者福祉およびターミナルケアの臨床に関連する医療福祉従事者と通信手段等によって連携して、現代北欧人の死生観がどのようなものであるか調べた。また前年度までの研究結果をもとにして、死生観意識の深層に現在する宗教意識の古層を明らかにした。すなわち、大地母神信仰とケルト-ゲルマン的要素の複合としてのヨーロッパ精神史を、「ケア」概念に収斂させる作業をおこなった。ノルウェーに現存するスターヴ教会30基のうち14基を調べ、教会3基を癒しの教会として集中的に調べた。近代的医療概念とは明らかに異なる古代的-原初的な概念である「癒し」は、精神史的に作業し、文化を有意味性体系として理解することによって明らかとなった。「癒し」の具体的事象としては、沼もしくは河川・口頭伝承・聖像という三つの意味素を共通にもつことが指摘でき、エイドゥスボルク教会・ヘダーレン教会・ロルダール教会である。口頭伝承として癒しの出来事が言い伝えられたり、癒しをおこす聖像として信仰されることがありうることは容易に理解されよう。癒しと水源の関係は、新石器時代にまで遡及可能な大地母神信仰の変容であり、『ゲルマーニア』に記述されている宗教祭儀が、近代までスターヴ教会に継承されていた。癒しの有意味性構造は、現代北欧社会では、ボランティアワークにおける援助者と被援助者との関係のうちに現れている。
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