研究概要 |
前年度はアメリカの実態を対象としたが,今年度はその成果に基づき主に日本のサイトを対象として研究の展開と総括を目指した。手順と成果の概要を以下に示す。 (1)「Yahoo!JAPAN」に登録された宗教関係のサイトをすべて閲覧し、内容の特徴と傾向をまとめた。主たるものはハードコピーし,今後の研究の基礎資料としてデータベース化した。 (2)宗教サイトを運営する姿勢として、形だけのものと積極的なものに二分される。宗教活動の中でインターネットを積極的に活用しようとしている206のサイトにメールを送り(イスラム2、神道34、仏教117、キリスト教118、その他62)、ホームページの運営方針について予備的なアンケートを実施した。 (3)78のサイトから回答を得た(イスラム2、神道6、仏教32、キリスト教21、その他17)。そのうち協力的に対応してくれた組織には持続的なコミュニケーションを試み、インタビュー調査も数回にわたって実施した。インターネットの普及により新たな信仰の形が出現することを予感しているところが多かったが、全体的にまだ模索中の段階にあるといえる。日本の場合はアメリカと異なり、特にニューエイジ的なサイトが突出しているわけでなく、原理主義的な傾向も希薄であった。今後さらに、インターネットの普及が宗教活動全体に及ぼす影響を多角的、有機的に調査研究すべきとの感触を得た。情報化時代における宗教的実践の将来は、社会科学的に追求すべき豊かな問題を含んでいるといえる。
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