研究課題/領域番号 |
10871069
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 健 名古屋大学, 文学部, 教授 (60190378)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 文の意味 / メタ言語 / 機械翻訳 / 数量詞遊離 / 主体 / 主題 / 状況 / 集合 / 時制・アスペクト / 動詞分類 / 意味役割 |
研究概要 |
日本語と外国語の間の機械翻訳は、ヨーロッパの主要言語(特に英語)から日本語へという方向では、かなりの精度をもつシステムが開発されており、実用化は順調に進展しつつあると言える。一方で、日本語から外国語へという逆の方向の機械翻訳に関しては、まだ十分な実用化が達成されているとは言い難い。日本語からフランス語への翻訳においても事情は同様である。その主たる原因は、一つには日本語の構成素配列の規則が、フランス語に比べると自由度が高いということであり、もう一つには、日本語の名詞が、その指示対象の定性や数の区別を形態素のレベルで表示しないという特徴に求められる。 今年度の研究では、日本語からフランス語への機械翻訳のために必要な、上にあげた二つの問題を解決することに重点を置いた。構成素配列の自由度という点に関しては、日本語に特徴に認められる数量詞移動(遊離)の問題を取り扱った。この結果、従来生成文法の枠組みで主張されているような構造に依存する数量詞移動の解釈は適当ではなく、数量詞が本来の位置から移動した結果、通常の意味解釈規則を適用して得られる文の意味表示が、世界に関する人間の知識から大きく逸脱する事態に対応している場合に、ある位置への数量詞移動が不適格とされることが解明された。 名詞の指示対象に関する問題では、日本語において主体を表示する格形式である「が」と、主題を表示する形式ではあるが、そのことによって主体を表示する頻度の高い形式である「は」を伴う名詞の指示対象の性質に焦点を絞って研究を行った。この結果、前者の形式を伴う名詞の指示対象は、述語が要求する主体の集合の部分集合であること、後者の形式を伴う名詞については、その指示対象の集合は状況によって決定され、その集合に適合するように、述語の表示する事態が決定されることが明らかにされた。
|