研究概要 |
平成11年度は、研究代表者も属するDRroろう者学研究センター手話学チームの諸メンバーおよび、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科の諸講師の協力を得、研究をすすめた。春から夏にかけては手話学チーム主催による、全7回にわたる連続講義「ろう者のための(手話)音声学」の講師をつとめた。7月10日、11日の両日、新潟県妙高高原で開かれた日本手話学会第25回大会においては、「日本手話と北米先住民諸言語の類型論的対照研究」を発表した。10月15日から17日まで、アメリカ合衆国ワシントンDCにある、世界で唯一のろう者のための大学ギャロデット大学において、世界の手話学の先駆者である、ウイリアム・ストーキーの80歳の誕生日を記念して開催されたシンポジウムに参加した。秋には、東京外国語大学百周年記念論文集に「日本の北アメリカ的言語:日本手話」が掲載された。 前年度からの引き続きであるが,研究代表者はろう者の母語である日本手話は、日本語とは類型論的に異なった文法を持ち、一方北アメリカの先住民諸言語とは、類型論的な類似点を多く共有することに目を付け、ここを中心に研究を行っている。なお、日本手話と北アメリカ先住民諸言語が共有する類型論的諸特徴は、主要部標示、名詞と動詞の不峻別、順向・反転、類別詞、名詞抱合、語彙的接辞、重複法、音象徴と擬声語、輯合性などである。 なお、先のことであるが、2000年7月にオランダ・アムステルダム大学で開催されるTISLR7「手話研究における理論的諸問題」第7回大会に、研究代表者と国リハ学院手話通訳学科の市田泰弘講師の「順向・反転」に関する共同研究口頭発表が採択された。
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