ポスト・リーン生産システムとしてモデルとなる工場を引き続き調査した。(1)トヨタ自動車・田原工場においては、「現在のトヨタ生産方式の取り組み」について調査し、リーン生産システムの原点であるトヨタ生産システムの進展を把握することができた。(2)ロボットによるセル生産ライン構築に取り組んでいるデンソー・安城製作所では、「市場の不確実性に順応する生産システム(APS)の開発」を調査し、山武・藤沢工場では、「着々自働化ラインでのモノづくり」を調査したが、マン・マシン・システムによる生産性の高い協働システムの実現を研究することができた。(3)住友電装・鈴鹿製作所では、「ライン・カンパニー制による事業体質強化、およびN-IE研修によるモノづくりの改善」を調査し自律性の高い生産システムの進展を研究した。 本年度の成果として、工業経営学会・西日本部会の報告では、従来のライン生産システムに比べて不確定性パラメーターに対して優位性があるセル生産システムの成功事例について、調査した工場のうち10の事例分析をした上で、"セル生産システムの成功要因""について述べてみた。日本経営学会・関西部会の報告では、日本の製造企業における昨今の激しい環境変化に対して、セル生産システムは、どのように生産性を高め、自己安定性、自己組織性について優位性を持たせることができるかについて考察した上で、"セル生産システムの特性についての仮説"を述べてみた。論文発表においては、不確定性パラダイムにおけるセル生産システムの優位性について述べ、その特性を考察し、さらに"セル生産システム構築の課題"について提示した。
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