研究課題/領域番号 |
10874002
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 健爾 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (40011655)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 超弦理論 / 共形場理論 / 共形場ブロック束 / 射影的接続 / モジュライ空間 / 複素単純リー群 / 主束 / モジュラー函手 |
研究概要 |
超弦理論の重要な構成要素である共形場理論について主として研究を行った。非アーベル的共形場理論は点付き代数曲線のモジュライ空間上のベクトル束、共形場ブロック束、とその上の射影的接続として捉えることができる。 モジュライ空間もベクトル束も、射影的接続もすべて有理数体上定義されており、これが研究の発端であった。本研究においてはまず、射影的接続の具体的な形を求めることを考察し、複素単純リー群がSL(2,C)のときに具体形を求めた。この研究では実際に具体形を求めるためには、共形場ブロックを複素単純リー群の主束の場合に拡張し(従来の共形場ブロックは自明な主束に対応する)、主束のモジュライ空間まで考察に入れる必要がある。この場合も、実際は、モジュライ空間の一部を使って射影的接続の具体形を求めることを行なった。射影的接続の具体影は超幾何微分方程式の一般化と考えることができ、その数論幾何学的性質が幾何学的に興味あるところであるが、時間不足のため十分に解明するには至らなかった。 また、共形場理論からはモジュラー函手が得られることが知られているが、モジュラー函手の公理を満たす理論を実際に作ることはこれまでなされておらず、これまでは超弦理論と密接に関係する位相的場の理論から構成されていた。この点に関しても研究を行い、非アーベル的共形場理論とアーベル的共形場理論の分数ベキを組み合わせることによってモジュラー函手を構成できることを示した。この理論も有理数体上展開することができるが、この理論の数論幾何学的意味づけは十分には解明されなかった。 さらに、以上の理論の一部をスーパー構造を入れた超共形場理論に拡張し、数論幾何学的取り扱いができることを示した。 以上の理論を総合して、超弦理論の数論幾何学的解釈を行うことは今後の課題として残されている。
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