研究概要 |
種数2つの超楕円曲線のゼータ関数の計算とそのヤコビ多様体の整数論を中心において,主に以下の2つについて研究した。 1.虚数乗法をもつ2次元アーベル多様体の有理点群 有理数体上に定義された種数2の超楕円曲線でそのヤコビ多様体が既約でかつ虚数乗法をもつものの定義方程式がP.V.Wamelenにより計算された('99)事実を踏まえて,それらの曲線のゼータ関数を求め,ヤコビ多様体の有理点群の構造を研究した. 上記の定義方程式は,虚数乗法環を固定した場合の同型類の代表を一つ与えているだけなので,有理点群の構造を研究する立場からは不十分である.今後は,有理数体上の種々の同型類上で計算したい. 2・Γ_1(N) (N=13,16,18)に関する保型関数体のゼータ関数の計算とヤコビ多様体の有理点群 有理数体上定義される楕円曲線は志村・谷山予想により保型関数で一意化される.次は有理数体上定義される2次元以上のアーベル多様体を特徴づける問題となるが,そのための準備として,保型関数で一意化される代数曲線のヤコビ多様体の研究は重要である.いままで,Γ_0(N)型保型関数体については多くの研究があるが,ここでは数少ないΓ_1(N)型保型関数体の例について,そのヤコビ多様体のゼータ関数を計算することにより,有理点群,自己同型群を求めた.
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