研究概要 |
(1)錐角π以上の錐多様体の研究. Jorgensenの方法を用いることにより(代表的なGenus 1,1-bridge knotである)(-2,3,7)型Pretzel結び目補空間を底空間にもち,その解消トンネルを錐軸とする双曲的コーン多様体の連続族を錐角が0から2πの範囲で具体的に構成した.錐角がπ以下の錐多様体については,都合の良い様々な性質が成立することが証明されており,それらを用いることによりThurstonの軌道体幾何化定理が証明されていた.しかしながら錐角がπ以上となった時にどのような現象が起こるのかまだ殆ど何もわかっていない状況であるので,この具体例を手掛かりに錐角π以上の錐多様体に対する一般論を展開するのが今後の課題である. (2)3次元多様体上の向き保存周期写像の手術表示. 向き保存周期写像fを持つ任意の有向閉3次元多様体Mは周期的絡み目Lのデーン手術により構成され,しかも周期写像fはLの周期性を与える周期写像が自然に誘導するものと共役であることを証明した.これは,任意の有向閉3次元多様体は3次元球面内の絡み輪のデーン手術により得られると言うWallaceとLickorishによる古典的結果の同変版といえる.この結果の応用として9交点以下の双曲的2成分絡み目補空間の全ての等長写像を"視覚化" した.
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