研究概要 |
昨年度から継続の本研究課題の主目的は、差分方程式で定義される特殊関数の発見であった。この目的の達成のため、先ず差分方程式の解として唯一の既知の特殊関数であるガンマ関数の拡張は何かについて研究してきたが、その一端を解明し、実に面白い結果を導出した。 昨年度の報告でも触れた如く、線形差分方程式Δy(Z)=ap(Z)において、ap(Z)=1/(P!)Z^plogZ-γpZ^pなる一連の解系Φp(Z)(p=0,1,2,...)を考えると、Φo(Z)=logΓ(Z)であり、また関係式Φ^'p(Z)=Φp-1(Z)(p=1,2,...)を得る。即ち、差分方程式g(Z+1)=Ap(Z)g(Z)(Ap(Z)exp[ap(Z)])に対する解Γp(Z)=exp(Φp(Z))(P=0,1...)は正にガンマ関数Γ(Z)の拡張となっているのである。勿論、これらの関数は、超超越関数(決して代数的微分方程式をみたさない)であり、また漸近挙動及び大域的挙動としての接続公式も一連の積分操作で与えられることが理論的に解明されたのである。この論文は、近々差分方程式論の専門誌に公表される。 さて、本研究期間中に、上の研究の基ともなった研究代表者の「Global Analysis in Linear Differential Equations」がKulwer Academic Publishersから発刊(1999年4月)された。これは、微分方程式系に対する大域的理論に関する専門書であり、Mathematical Reviews誌に近々reviewされる。また各分担者も多変数超幾何微分方程式系の研究分野等で、数々の成果を挙げている。
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