研究課題/領域番号 |
10874045
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
吉田 拓生 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (30220651)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 人工ダイヤモンド / 荷電粒子検出器 / 素粒子実験 |
研究概要 |
これまでに入手した3種の人工ダイヤモンド薄膜((1)気相成長ダイヤ、(2)不純物窒素含有率115ppmの高温高圧合成ダイヤ、(3)不純物窒素含有率1ppm以下の高温高圧合成ダイヤ)の中で荷電粒子検出器の素材として最も適した特性を示す気相成長ダイヤ(試料(1))について、さらに詳しい性能評価を行うため、荷電粒子検出効率の極板間電場依存性および長時間安定性を測定した。この試料は7.5V/μm以上の電場で電気的絶縁が破れることが分かり、これ以上高い電場はかけられなかったが、検出効率は5V/μm以上の電場で95%を上回ることが分かった。この検出器は、電場をかけた直後から出力信号の波高が安定するまでに5〜6時間を要したが、十分高い電場をかけておけば、波高が不安定でも高い検出効率を維持することができた。 一方、試料(3)は、不純物として含有する窒素の量が最も少なく、このため荷電粒子を照射したときに最も大きな信号が得られるものの、電気的絶縁性が悪く、暗電流によるショットノイズが大きくなってしまう。同種の試料を複数個作製し、電気的な特性に個体差があるかどうかを試験したが、絶縁性は改善されなかった。これは、高温高圧合成の過程で溶媒として用いるニッケル等の金属が微量に混入しているためと考えられる。同様の方法で合成される試料(2)にも微量の金属が混入しているはずであるが、試料(2)は不純物として窒素を大量に含んでいるため、絶縁性は高い。しかし、試料(2)で作った検出器は、7.5V/μm程度の電場をかけても信号が小さく、検出効率はかろうじて90%に達する程度であった。 結論として、今回調べた3種の人工ダイヤモンド薄膜のなかで、気相成長ダイヤモンド(試料(1))は荷電粒子検出器の素材として実用化可能であることが分かった。
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