研究課題/領域番号 |
10874060
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊池 誠 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50195210)
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研究分担者 |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
松川 宏 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192750)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 熱ラチェット / 量子ラチェット / 量子ゆらぎ / トンネル現象 / 量子機械 / 非平衡 / 散逸 |
研究概要 |
熱揺らぎから運動を取りだす機構として、"熱ラチェット2"の研究が盛んに行なわれている。本研究では、熱ラチェットの概念を量子領域へ拡張した"量子ラチェット"の概念を提案し、その性質に関する基礎的研究を行なった。これは、分子機械や量子効果を使った微小デバイスなど、量子効果が無視できないほど小さな系が将来構築されることを念頭に置いたものである。 量子ラチェットとは、空間非対称な周期ポテンシャル中で散逸と変動外力を受けながら粒子が量子拡散するものを指す。中でも本研究では、具体的なモデルとして、準古典モデルおよび量子性のより強いタイトバインディングモデルのふたつをとりあげた。 準古典モデルについては、経路積分法によって解析的に量子トンネル効果を扱い、粒子の一方向流が形成されることを示した。巨視的な流れの形成には散逸が必須であり、逆に散逸があれば絶対0度でも流れが生じる。 一方、タイトバインディングモデルについては、密度行列の時間発展を記述する微分方程式系を直接数値的に解いて、やはり一方向流の形成を確認した。こちらのモデルでも絶対0度でも流れが発生する。また、発生した流れの外力や温度に対する依存性をエネルギーレベルの分布と比較し、エネルギーギャップと外力周期や温度との共鳴が散逸効果によって取りだされることにより流れが形成されていることを見いだした。すなわち、このモデルでの流れの形成は、純粋に量子力学的効果によるものである。
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