研究課題/領域番号 |
10874073
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土山 明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90180017)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | PAH / マーチソン隕石 / 蛍光顕微鏡 / ナフタレン / 蒸発速度 / 火星隕石 / X線CT法 / 炭素質コンドライト / ALH84001 / 3次元構造 |
研究概要 |
炭素質コンドライト中の有機物をその場観察することを目的として、実験をおこなった。隕石中にも含まれる多環芳香族炭化水素(PHA)は蛍光物質であり、蛍光顕微鏡によって隕石中での存在をその場観察することができる。カンラン石粉末(隕石模擬物質)に5種類の異なるPHA試薬を混ぜ、ナイフの刃で破断した面を蛍光顕微鏡で観察した。とくにフルオランテンは、隕石中と同レベルの濃度(約30ppm)でも、この方法により観察できることを確認した。次に、Murchison隕石の観察をおこなった。PAHの固定や組織との対応のためには隕石を樹脂埋めした方がよいが、蛍光をほとんど持たずまたPHAを溶解しない適切な樹脂を見い出すことはできなかった。従って、清掃したダイアモンドカッターを用いて隕石を切断し、その切断面を蛍光顕微鏡で観察した。数〜数100μmの大きさの蛍光物質がいくつか観察できたが、再現性がなく(長時間放置後再び観察すると位置や形態が変化する)、PAHを固定できなかったか、あるいは汚染物質を観察したものと思われる。 PAHは一般的に揮発性が高く、容易に蒸発することが考えられる。PAHのひとつであるナフタレンの蒸発実験を熱天秤を用いておこなった。測定した蒸発速度は、その蒸気圧から予想される理想的な速度の約1万分の1と小さかったが、このような蒸発速度でさえも、地球に落下後隕石からPAHは容易に蒸発してしまうことが予想され、特別なシールド機構が必要であることがわかった。 一方、炭酸塩鉱物に伴うPAHの発見などにより過去の生命活動が指摘されている火星隕石ALH84001について、その3次元構造を明かにするために、高分解能X線CT装置による観察をおこなった。これにより、クローマイトと斜長石ガラスが篭上構造を作っていることがわかったが、炭酸塩に対応する部分をCT像において確認することはできなかった。
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