研究概要 |
本研究では有機ラジカルと金属イオンからなるキラルな磁性クラスターの合成を目指した. 一分子中に複数の配位部位をもつポリピリジルは金属イオンへの配位によりらせん構造を持つ錯体をつくる.本研究では分子内に二つの有機ラジカルもつ配位子を合成し,その銀(I)錯体についてその構造・磁性について検討した. 本研究で合成した配位子は二つのイミノニトロキシドをピリダジン,ビピリジン,ピリジンでつないだビラジカル配位子 pyrd-im2,bpy-im2,bisimpyである,このうちbisimpyは分子内で二つのラジカルが強磁性的相互作用(2J=12cm^<-1>)をもつ.今回合成したこれらビラジカルを配位子にもつ銀(I)錯体[Ag(I)_2(L)_2](PF_6)_2(L=pyrd-im2,bpy-im2,bisimpy)は,二つのビラジカル配位子が二つの銀(I)イオンを架橋した構造を持ち,分子内で4つのラジカル部位が二重らせん状に配置されている.また,磁化率の測定により配位子Lがpyrd-im2の場合,分子内で反強磁性的相互作用(2J=140cm^<-1>)をもつことが明らかになった.
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