研究概要 |
本研究では、動的な微小計測法により巨視的なネットワーク形成機構を評価する。時空間情報を指標とした化学計測法の開発を主目的として、次の(a)-(c)を行った。 (a) 複数の非線形振動子間の結合強度・配列に対する、位相波の伝播、同調現象、変調の発生等ネットワークの時間的構造形成の機構の実験的解明。 非線形振動子である塩水振動子の結合に関する実験を行い、結合強度に依存して、同調現象が逆相(180度位相差)→150度位相差→準周期振動→同調モード解除を見いだした。また、循環と振動モード間にヒステリシスがあり、溶液の粘性に依存することを見いだした。 (b) 膜・界面上の空間的発展現象における、光制御とベクトル的制御機構の解明。 樟脳粒子の自発的運動を用いて回転-並進運動間のモードスイッチングや間欠運動を再現することに成功した。 (c) (a)と(b)の系をあわせた、時空間軸情報の動的計測法の実験的開発と理論モデルの構築。 (a)について、理論モデルを構築し、計算機シミュレーションを行ったところ、実験結果を再現させることができた。 Ru(II)錯体を触媒としたBZ反応における化学波の光変調のメカニズムを明確し,光刺激に対する振動変調を時空間的情報として信号処理を行なった。この結果,Bz試薬の仕込み濃度により,光刺激に対する応答が異なることが分かり,動的モデル系の制御条件が明らかになった。
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