研究概要 |
ミヤコグサはにわかにマメのモデルとして注目を集めるものの,その歴史は浅く,分子遺伝・ゲノム解析の基盤整備においてシロイヌナズナやイネとは歴然とした差がある.以下に今後解決して行かなくてはならないミヤコグサにまつわる課題を列挙した. 1,世界にGifu B-129が広く出回っているが,開花に多くの日照を必要とし叢生するために遺伝解析に大型環境調節装置を必要とする. 2,マッピング.遺伝地図の作成においてGifu B-129の交配パートナーが確定していない. 3,vacuum infiltrationのような早くて簡易な形質転換法が確立されていない. 4,ミヤコグサと他のマメ科植物とのsynteny. 5,研究人口が少ない.ゲノム解析の基盤形成やネットワークをどうするか. 以上の問題を解決すべく以下のことを行った. 1,早咲きミヤコグサの探索:今までの我々のミヤコグサの育成・遺伝解析は駒場キャンパスではなしえず,すべて農水省の屋外型大型環境調節装置でなされたものである.シロイヌナズナと同様,室内でも容易に扱える早咲きミヤコグサを探索した結果,沖縄県宮古島に自生するミヤコグサMiyakojimaにたどりついた. 2,系統の確立:Miyakojimaにはaccession numberとしてMG-20を付与した.遺伝的背景を均一化するために自家受粉を7回繰り返しMiyakojima MG-20-S7を確立した.1999年夏より種子を国内外に配布しはじめている. 3,Gifu B-129とのDNA多型:Miyakojima MG-20は今まで収集した日本のaccessionsの中でもっともGifuと多型があることが,農業生物資源研究所の川崎信二らとの共同研究によるAFLP解析により明らかとなった.そこでMiyakojima MG-20にGifu B-129を交配し,マッピングのためのF2集団を作出した.今後原因遺伝子のポジショナルクローニング,他の有用マメ科植物のsynteny解析において大きく貢献するものと思われる.
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