研究概要 |
1.リソソームをパーコール密度勾配遠心法を用いて単離し,リソソームに存在するタンパク質を電気泳動で分離しウェスタンブロット法により解析した。その結果,リソソームは液胞型ATPaseのAサブユニット・Bサブユニット,酸性ホスファターゼが存在することがわかった。 2.計画していた蛍光抗体法,免役電子顕微鏡法によるリソソームと液胞の比較は行わなかった。 3.タバコ培養細胞を用いた実験系において,ショ糖飢餓処理に伴って活性化されるシステインプロテアーゼのPCRによるクローニングを試みたが,有意義な結果は得られなかった。 4.細胞の形態を光学顕微鏡を用いて詳しく観察し,リソソームが形成されるタイミングを調べた。その結果,リソソームを介した自食作用は一過的にしか起こらないこと,そして,この自食作用が終了した後も細胞内タンパク質分解は進行することを明らかにした。さらに,リソソームを介した自食作用が終了した後に起こるタンパク質分解は,液胞が直接関与する自食作用に依ることを示唆する結果を得た。 5.リソソームの形成を阻害する薬剤のスクリーニングを行った。その結果,動物細胞の自食作用の阻害剤である3-メチルアデニンが,リソソームの形成を阻害することを明らかにした。
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