研究課題/領域番号 |
10875052
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械力学・制御
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40156716)
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研究分担者 |
小木 哲朗 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00282583)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Virtual Reality / 嗅覚ディスプレイ / 仮想空間 / ダミーヘッド / 呼吸 / 応答性 / 位置センサ / 視覚提示 / アナログ調節弁 / 匂いの「場」 / 匂いの濃度提示 / 磁気位置センサ / 空間の分解能 / 香料 / 官能試験 |
研究概要 |
本年度は、昨年度のデバイスの問題点に基づき、新たに熱拡散方式による提示デバイスの提案・開発と、定量的な評価を行うための装置の提案を行った。また、開発した嗅覚提示デバイスとディスプレイによる嗅覚と視覚の同時提示による実験を行った。 新たに提示したデバイスは、熱電対とニクロム線により適切な濃度の匂いを体験者の吸気に応じて提示するものである。昨年度の手法では、提示する濃度を定量的に制御することは可能なものの、匂いを体験者の感覚器のみならず大気中に大量にまきちらすものとなっていた。そのため、熱電対により体験者の呼吸を検出することで体験者に必要十分な匂いを提示し、ニクロム線を用いて匂い物質を加熱することで高速に匂いを発生させ温度により濃度を調節する新しいデバイスを開発した。 この手法によるプロトタイプは、昨年度のデバイスに比べ非常に小型軽量化され、周囲に対する影響が非常に小さいものになった。また、比較的強い匂いを短時間で提示することも可能であった。しかしながら、熱による加熱の応答性が予想より高くなく、吸気の検出から匂いの提示まで 1sec 以上かかるため、十分な応答を持たすことができなかった。そのため本手法は、一人の体験者に対し匂いを提示するより、部屋のような比較的広い環境に匂いを局所的に付加するような用途に有効と思われる。 これらの開発したデバイスの定量的な評価を行うために、嗅覚のためのダミーヘッドを開発した。これは聴覚の研究などで用いられるダミーヘッドと同様、人間の形をし擬似的に呼吸を行うものである。ダミーヘッドは二つのチェック弁の組み合わせにより人間の呼吸に応じて呼吸し、吸気を袋に回収することができる。このダミーヘッドに対し、開発した嗅覚ディスプレイを装着し吸排気を行うことで、有効吸入量および濃度を調べることができ、嗅覚ディスプレイの濃度による定量的な評価を行うことができた。 また、試験的ではあるが、視覚提示と併せて嗅覚の提示を行った。視覚により場所を示すことで、嗅覚だけによる提示より正確に空間を提示することができた。また、視覚だけによるより高い臨場感を提示できていることが実験により確かめられた。今後、聴覚や触覚などと組み合わせていくことで、より豊かな空間を提示することが可能になると思われる。
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