研究課題/領域番号 |
10875099
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水工水理学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
浅野 敏之 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (40111918)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | マングローブ湿地帯 / 底質堆積 / 地形変化 / エスチュアリー / 移動境界値問題 / 数値水理モデル |
研究概要 |
熱帯・亜熱帯の沿岸域を特徴づけるマングローブ湿地帯における土壌の堆積・侵食特性について、マレーシア半島東岸トレンガヌ州での現地観測結果に基づいて考察した。マングローブ水域は浅く平坦な氾濫原(スオンプ)と狭小水路(クリーク)から構成される。水域内の流動は潮汐による入退潮によって支配されるが、モンスーン時の強い降水に伴う河川からの氾濫も見逃すことが出来ない。 本研究では、まず、最も基本的なデータである現地の標高・水深等の地形データ、降水量・日射量などの気象データを、現地に出向き収集・分析した。次いで、マングローブ湿地帯の底質地盤の堆積高・底質粒子特性についての多地点・2年間にわたるデータを詳細に検討し、どのような水理学的な過程でこの結果が説明できるかを考察した。 本研究の成果として、(1)対象としたマングローブ湿地では1年間に平均値として1.06cmの土壌堆積があり、これは従来観測された報告結果の範囲内にあるものの、やや高めの値であること、(2)モンスーン季と非モンスーン季では底質の堆積速度に大きな差があり前者で大きいこと、(3)エスチュアリーに面したマングローブ前面部では底質堆積量が大きく底質粒径は後背部に比べて粗いこと、等が明らかになった。これらの成果を裏面の研究発表欄の論文によって公表した。 さらに、得られた土壌堆積量の結果を、現地の潮流・河川流・海浜流等の外力の特性から説明する数値計算モデルについて検討した。その結果、マングローブ湿地帯がきわめて平坦であることから、その水際線は潮位とともに時間的に大きく変動し、通常の水理計算では適切に表現できないことがわかった。そこで、高潮計算などに適用されている移動境界値問題による取り扱いを検討し、その数値水理モデルの確立に向けて取り組み、現在、完成への見通しをつけるに至っている。
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