研究概要 |
1997年に申請者(古屋)は1000℃以上での熱弾性型相変態(形状記憶効果)が可能なRu(ルテニュウム)-Ta(タンタル)系合金を発見した.しかし,その相変態温度の合金組成依存性やその力学特性については,超高温下という評価技術・手段の難しさも有り,ほとんど明らかにされていないのが現状である.そこで,本年度研究では,このRu-Ta系を主体とした高温〜超高温型形状記憶合金系の相変態,形状記憶効果温度の再確認、熱処理効果、さらには,組織変化その力学的特性(形状記憶効果、強度特性など)など、まだほとんど明になっていない材料側基礎的データを採取することを試みた.以下に本年度研究成果をまとめる。 (1)Ru-Ta系での熱弾性型マルテンサイト相変態温度(As,As,Ms,Mf)の原子組成比との相互関係を示差熱温度計(DSC)で調べ,Ru-Ta等比原子組成で,As=1068℃,Af=1084℃,Ms=1066℃,Mf=1048℃という極めて狭い温度範囲で作動できる、1000℃以上の超高温形状合金の存在を再確認した。 (2)引張りステージ付きのレーザ顕微鏡を用いて、高温・超高温下での弾性的相変態の進行とそのメカニズム考察した。その結果,1000℃以上の温度環境で、結晶粒内でマルテンサイト双晶界面の移動と消滅の可逆性が確認され、熱弾性型の相変態(形状記憶効果)が実際に起っていることが顕微鏡観察下で世界ではじめて確認できた。 (3)引張りステージ付き形状記憶回復応力(ひずみ)〜温度の双結晶組織変化観察下でのデータ採取を行うシステムを構築し,Ru-Ta系のアクチュエータ・センサへの力学特性評価を行った。
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