研究課題/領域番号 |
10875148
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨井 洋一 (富井 洋一) 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (90026245)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 窒化チタン / Ti2N / SIMS / 傾斜機能 / ファセットボイド / 水素 / 厚窒化膜 / 窒化促進 / 凝縮プラズマ / ラディカル種ないしはイオン種 / プラズマ / ERDA / TiN |
研究概要 |
前年度にて遂行された小研究項目に引き続き、さらに得られた成果を発展させ、以下に示す新たな研究成果を得た。 1.プラズマ窒化の時の反応ガスN2に水素ガスを添加すると、形成される窒化層厚みに比例してNHラディカルの定量的検出がなされた。 2.最適の窒化条件は、H2/N2比が3/7から4/6であった。 3.形成された窒化層の厚さは基板温度1400℃、300torr.の条件では5時間で200μmを越えた厚膜の形成が認められた。この場合水素添加がない時は、その形成速度は極端に遅く、同条件で1/3以下であった。 4.しかしながら厚膜形成の場合、微小部X線元素回折によって断面方向の結晶構造を調べ、本研究で開発されたチタンと窒素の分離ソフトの使用による微小部X線元素分析によって、化合物中の窒素を定量した結果、化学量論組成に近いTiN層はごく表面の20μm以内でのみ検出された。 5.TiN層の内部には窒素を20から30%含むα相であった。その境界では、準安定層のTi2Nが確実に検出された。 6.ERDAおよびSIMSの水素分析によれば、水素の分布は、窒素の分布に比例せず、むしろTiNの確実な表面近傍では、極端に水素濃度の低いことが見出された。 7.微小硬度測定の結果は、窒化物の形成に比例し、窒素の濃度と比較的良く一致した。 8.表面直下に見出されたテトラゴンに近い形状のボイドは、水素の添加によってより顕著に現れるが、チタンのグレイン方位と明確な関係を有していた。(ファセットボイド) 以下の研究成果から、略、水素の窒化促進効果は実験的に確実なものといえるが、そのさらに詳しい原子論的な窒化物形成時の機構を明らかにすべく考察を進めている。幾つかのスペキュレーションがなされ、最も実験事実を説明し得るモデルが、国際会議で発表された。 現在、報告書にこれらのスペキュレーションを含む最終的な計算を行っており、かなりの成果が得られたと考えている。
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