研究概要 |
アルミニウムをマトリックスとする複合材料をその競合材料と区別をできる最大の特色は,300℃を越える高温特性が保持できるかどうかである.アモルファスや合金化で微細組織制御されたアルミニウム合金は,組織の安定性から300℃を大きく越える温度範囲での常時使用はほとんど不可能になるが,短繊維強化複合材料では300℃を越える温度でも安定な組織が保たれる.しかし,300℃を越える温度領域ではマトリックスの軟化と繊維/マトリックスの界面滑りが著しくなり,複合則に従う限り急激に複合材料の強度は低下する.この状況の中,まず本研究では短繊維或いは粒子強化複合材料において新しいプリフォームの製造方法を提案する.この方法では,プリフォームの成形にセラミックスの焼結技術を取り入れ,無バインダーあるいは安定酸化物をバインダーとして高強度プリフォームを作成し,セラミックスの骨格を形成する.この技術によって,複合材料における幾つかの問題点,すなわち,高圧鋳造時のプリフォームの変形や割れを防ぎ,従来用いられているシリカバインダーと溶湯との反応抑制が引き起こす問題など解決され,更に従来の複合則では予測できない優れた熱的特性性質を実現できることが明らかになった. 一連の本研究の遂行により,エレクトロニクス機器に対応する低温領域から自動車エンジン部品をカバーできる中温領域まで利用できる骨格構造を持つ複合材料の新しい分野を切り開いた.
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