球状高分子と複数の線状高分子とから構成される全く新しい「彗星型」ブロック共重合体を考案した。まず、彗星型高分子を構築するための基盤となる表面ブロック型デンドリマーを合成した。ベンジルオキシカルボニル基で部分保護したエチレンジアミン開始核を用いdivergent法によりポリ(アミドアミン)樹木状分岐構造を形成した。メチルエステル末端とヘキシルアミンとの反応により疎水性ブロックとし、中心保護基を除去して、再び同様のdivergent法を行い、精密な表面ブロック型デンドリマーを合成した。この表面ブロック型デンドリマーの末端アミノ基を開始点として、サルコシンN-カルボキシ無水物(NCA)のリビング開環重合を行った。両親媒性構造からなる彗星型高分子の親水性・疎水性のバランスと集合体の形態との相関を表面張力測定により明らかにした。その結果、興味深いことに一旦少数の彗星型高分子が集まり、さらに大きな集合体が形成される二段階ミセル形成が見出された。これは、本研究の主題である彗星型の新しい分子形態に基づくものであり、今後この知見をもとに、今までにない材料設計の展望が開けた。
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