研究概要 |
アワノメイガおよび近縁/同属のアズキノメイガについて性比がメスに偏る現象を詳しく調査し、Wolbachiaによるものと、非Wolbachia要因によるものとの2種類があることを明らかにし、さらにこれらのメカニズムについて検討した。 Wolbachiaによる性転換:1998年に採集したアワノメイガ6個体、アズキノメイガ4個体に感染していたWolbachiaのwsp遺伝子の塩基配列(565bp)を決定したところ、全ての個体において同一の配列であった.この結果は、どちらかの種に侵入したWolbachiaが2種の交雑または寄生蜂などを介した水平伝搬によって他方の種に移った可能性が高いことを示唆している.また、このWolbachiaはヒメトビウンカで見つかった細胞質不和合性を起こすWolbachiaと最も近縁であることがわかった.このWolbachiaは、表面的には同一の現象であるダンゴムシのfeminizing Wolbachiaとは近縁ではなく、したがって、独立にfeminizeさせる能力を獲得した可能性が高いと考えられる.テトラサイクリンの濃度を段階的に希釈してWolbachiaが感染した幼虫に投与したところ、2世代後に従来の濃度では全てがオスになる家族が、メスとオスが共存するようになった.この結果はWolbachiaの密度がホストの産む性比に影響していることを示唆している. 非Wolbachia要因による性転換:Wolbachiaによらないオスのメス化現象を、精密な交配実験を繰り返して要因を探ったところ、1)early male killing,2)late male killing,3)parthenogenesis4)雌核発生、のいずれでもないことが明らかとなり、meiotic driveである可能性が高いと判断された。
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