研究概要 |
当該研究者は既に、北海道のゴルフ場にて数種のコガネムシを採取して、そこからB.popilliae菌株(3菌株、var.Mame,var.Hime,var.Sakura)を分離し、それらのB.popilliae菌株の結晶タンバク質を解析した。各菌株の結晶タンパク質のSDS-PAGEによる解析の結果、それぞれの菌株が約80kDaのペプチドからなる結晶タンパク質を産生していることが明らかとなった。そこで、var.Mame株の80kDaのペプチドのN末端アミノ酸配列の解析(10残基)を行った。その結果、報告されている、B.popilliae由来のタンパク質との相同性は認められなかった。 既に報告されている、B.popilliae由来の結晶タンパク質遺伝子(cryBP1:cry18A)に特異なオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、B.popilliae菌株のcry遺伝子の検索をPCR法を用いて行った。各種プライマーを用いてcry遺伝子検索を行った結果、これらのB.popilliae菌株が、報告されているcryBP1遺伝子を有しないことが明らかとなった。これらのB.popilliae菌株の有するcry遺伝子をクローニングするため、cryBP1遺伝子の上流域に存在するorf1に注目し、このorf1の塩基配列を基にDNAプライマーを作成した。そのプライマーを用いて、B.popilliae var popilliae株のゲノムDNAをテンプレートとして、PCR法によって約300bpの断片が増幅された。この増幅された断片を解析したところ、orf1と高い相同性が認められた。現在は、この増幅されたDNA断片の上・下流域のクローニングを進めている。
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