研究課題/領域番号 |
10876028
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 腸管上皮細胞 / 神経系細胞 / 複合培養 / 食品機能 / アポトーシス / 神経細胞 |
研究概要 |
腸管細胞及ぴ神経系細胞の間にどのようなクロストークが行われているかを、ヒト腸管上皮由来細胞Caco-2と神経系細胞(ヒトアストロサイト由来細胞株あるいはラット副腎髄質褐色細胞腫由来PC12)を透過性膜を隔てて同時に培養する複合培養系を用いて検討した。腸管細胞株と神経系細胞を複合培養することは可能であり、しかも共存することによって細胞の分化・増殖に変化が現れることが認められた。アストロサイトの場合には、Caco-2によって増殖が促進されることを示唆するデータが得られ、また神経増殖因子(NGF)の添加無しにはニューロン様細胞に分化しないPC12は、Caco-2と複合培養することによってNGF無しでもニューロン様に分化することが見いだされた。PC12とCaco-2の複合培養系について更に詳細に検討を進めた結果、この現象はCaco-2がNGFを分泌することに起因することが、抗体を用いた実験で明らかになった。一方、この時にCaco-2細胞単層のタイトジャンクションが開き、物質透過性が亢進していることも明らかになった。このことはPC12から何らかの因子が分泌され、それがCaco-2に作用したことを示すと考えられる。この因子はPC12による分泌が報告されているカテコールアミン系の神経因子ではなく、またPC12のタンパク合成をシクロヘキシミドで阻害すると活性が見られなくなったことから、何らかのタンパク質性の因子ではないかと推定される。このように、腸管上皮細胞と神経系細胞を複合培養することにより、両者がお互いに影響し合っていることがIn vitroで明確に観察できることがわかった。腸管細胞層の粘膜側から様々な食品成分を加え、神経細胞のアポトーシスを起こす様な食品因子を検索する試みは進行中であるが、現時点では顕著な変化を引き起こすものを見いだすことはできていない。
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