研究課題/領域番号 |
10876031
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 根圏 / 微生物活性 / 熱帯産マメ科樹木 / リン酸欠乏 / 有機酸生成 |
研究概要 |
【樹木根圏の微生物活性】 根圏では、根と土壌の間で水や養分、有機物の移動があり、根圏土壌の微生物活性が非根圏土壌と異なることがある。森林の樹木根圏の物質移動の特性を明らかにするため、微生物活性を根圏土壌と非根圏土壌で比較した。東京大学北海道演習林内のエゾマツ人工林2林分及びトドマツ人工林3林分において深さ0〜5cmの表層土壌を壊さずに採取した。実験室に持ち帰り、土壌試料を根ごと取り出した際に、根を含む土塊からすでに崩れ落ちていた土壌を非根圏土壌とし、根の表面から約5mm以内に付着している土壌を根圏土壌とした。全炭素量及び全窒素量、無機態窒素量が根圏土壌で多かった。セルラーゼ活性、窒素無機化活性、プロテアーゼ活性が根圏土壌で高かった。これらの微生物活性が根圏で高いのは、根からの有機物供給による基質の増加によるものだろう。酸性フォスファターゼ活性も、根圏土壌で高かったが、植物根から放出されるものも多いことが知られており、微生物由来でない可能性がある。樹木根圏での物質移動の特異性があることがわかったが、さらに定量的な検討を行う必要がある。 マツノザイセンチュウを接種して弱ったアカマツの根圏と無接種のアカマツの根圏の土壌を採取し、上記と同様の項目を調べ、樹体の状態の違いが根圏の土壌微生物の働きに与える影響を調べた。根圏土壌の採取が困難で、有意な微生物活性の違いは見いだせなかった。 【樹木根からの有機酸分泌】 P欠乏に対する熱帯産マメ科早生樹3種(Acacia mangium、Paraserianthes falcataria、Leucaena leucocephala)の有機酸分泌を無菌栽培系で調べたところ、P欠乏による有機酸分泌の増加は見られなかった。砂耕栽培系では、P欠乏によってAcacia mangiumの根にクエン酸が蓄積した。Acacia mangiumの2つの実験結果の違いが、分泌によるものか栽培系によるものかはわからない。さらに検討を要する。
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