研究概要 |
昨年度はアサガオ(短日植物)の花芽形成に温度、日長時間以外に青色光質の影響が大きく関与することを示唆した。すなわち、短日条件ではどのような波長(B,G,R光)でも開花したが、長日条件ではG,R光で全く開花せず、Bでは16時間の明期でも開花した。 本年度は、更に光波長の短い紫外線の影響について検討した結果、UV-Aは全く花芽形成に関与していないことが判明した。 また、長日植物としてのホウレン草への光質の影響を検討した。人工光としてB,G,R,W(白色光)の単色光、混合光(太陽光質の夏季と冬季の条件下)のもとに、温度、湿度、一定条件で栽培し、花芽形成への影響を検討した結果、短日および長日条件ともにR照射下で抽台(花芽形成)が早く、GとW光での抽台長は約半分見られ、Bでは全く見られなかった。また、混合光下では太陽光質の冬季条件で抽台が甚だしく見られ、冬季条件では見られなかった。既ち、10月から3月までは12月下旬をピークに可視光の中のR光が占める割合が多くなり、その反映として、抽台が見られたものと判断できる。 太陽光質の年間変動を2年間計測した結果、春分から秋分にかけては、太陽光に占めるBGRの比率は変化なく、秋分から冬至にかけてRが増加し、Bが減少する。一方、冬至から春分にかけRが減少しBが増加していく。Gは年間を通して、その割合変化は見られない。このように、自然界の光質変動に呼応して、日長反応植物は花芽形成を行っていることが示唆された。
|