研究課題/領域番号 |
10876060
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
昆 泰寛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10178402)
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研究分担者 |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | アポトーシス / 減数分裂 / 精子形成 / 精巣 / 精祖細胞 / 精母細胞 / マウス / チェックポイント / TUNEL染色 / DNAラダー |
研究概要 |
精巣内アポトーシスの意義を解明する目的で、減数分裂M期特異的に細胞死の出現するMRLマウスを解析した。本年度はその特徴をさらに検討した。 精子形成過程における減数分裂M期は一般的にMIとMIIに区別されるが、多くのアポトーシス像はMI期に集中していた。電顕観察により、減数分裂の紡錘糸形成後に細胞変性が開始しアポトーシスの過程を辿ることが見いだされた。このことから、MI期の細胞死が紡錘糸形成チェックポイント作動の結果として惹起される可能性が示された。次にMRLマウス精子形成チェックポイントの特徴をさらに検討するため、腹腔内停留精巣術を施しC57BL/6マウスのそれと比較した。その結果、術後2週までにC57BL/6の精巣重量はほぼ半減したのに対し、MRLマウスのそれは術後3週においてもコントロールの70%前後で推移した。形態学的にはMRLマウスで多くの精祖細胞が残存していた。さらに、生後発達過程の検討から、MRLマウス精巣では一時期卵細胞の形成されていることが明らかとなった。これらのことから、MRLマウス精祖細胞が熱耐性で、減数分裂中期チェックポイント完成前は卵細胞へと分化し、チェックポイント完成後は精母細胞のアポトーシス像として観察されるものと考えられた。この熱耐性精祖細胞に特異的に発現してくる遺伝子を同定するため、MRLマウスとC57BL/6マウス精巣cDNAを用いてdifferential display法を行ったところ、いくつかの既知ならびに未知遺伝子クローンを検出することに成功した。 以上の所見から、MRL系統のマウスは減数分裂MI期特異的にアポトーシスが出現し、精祖細胞の分化過程に何らかの変異の存在することが伺えた。今後精祖細胞を詳細に解析することで新たな精子形成チェックポイントを提唱できる有用なモデルとしてMRLマウスを検討していきたい。
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