研究概要 |
1. 内向き整流性K+チャネルの細胞外側よりに,点変異法によりシステマテックにcysteine残基を導入した。また,修飾がかからないnegative controlとして,cysteine残基を持たないものも作成した。 2. これらの変異体が機能するがどうかを,アフリカツメガエル卵母細胞を用いて発現させて検定し,電流がみられるものを同定した。 3. 電流がみられるものに対し,膜電位固定下に,繰り返しテストパルスを与えながら電流記録をとり,cysteine modifying reagentsであるcholoramineT,MTSEX等を投与し,修飾の結果おこる電流の経時的変化をモニターした。その結果,T141C,とF147Cのふたつの変異体がチャネルとしてよく機能し,かつ,よく細胞外側から修飾を受けるということが明らかになった。T141は、膜電位依存性チャネルでは細胞内側に面していると考えられているので,この結果は膜電位依存性K+チャネルと内向き整流性K+チャネルのポアの構造の著しい違いを示唆している。 4. T141CとF147Cを用いて,膜電位,細胞外K+濃度を変えて,MTSEXを投与した時の電流変化(修飾)の速さに変化が見られるがどうかを解析した。その結果,内向き整流性K+チャネルでは,膜電位依存性K+チャネルと異なり,膜電位や細胞外K+濃度に依存するポア細胞外側の構造変化は起こらないことが明らかになった。
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