研究概要 |
1. GnRHニューロンの培養 胎生13.5日齢のラット胎仔の鼻板と視床下部を別々に実体顕微鏡下で切り出し,あらかじめコラーゲンを処置した多点電極皿に静置し,器官培養を開始した。しかしながら,5-6日で,細胞は全面に広がり細胞密度が高すぎ,電気活動期録には不向きと考えられた。そこで,分裂阻止剤を処置し,この問題を解決した。後述する如く,培養は鼻板のみとした。 2. 電気活動の記録 培養7日目より電気活動期録を開始した。当初,ノイズに悩まされたが,適時アース等を設置することにより,安定した記録が可能となった。このシステムを用いて活動電位と思われるいくつかの細胞外記録に成功したが,(1)期待した周期性がない,(2)鼻板の細胞のものからなのか視床下部のものからなのか不明,(3)予測より発火活動が少ない,等の問題点が明らかとなった。そこで当初予定していたオフラインでの活動電位の解析は,パルスカウンターにより単位時間当たりのスパイク数を計測することにした。本方法は,当教室で行っている多ニューロン発射活動記録の解析法である。また,他の実験から,培養液中にGnRHが蓄積するとパルス状のGnRH分泌が抑制されることを示唆する結果を得たため,環流系を構築することにした。培養は鼻板のみとした。電極皿および導出装置は,37℃に保たれた自家製チャンバー内に設置し,保温装置からのノイズを極力押さえた。培養液を人工脳脊髄液に変更し,毎分150μlで環流することにした。このシステムで,単一鼻板からの記録を行っている。現在の問題点は,環流液吸引中に発生するノイズである。 3. 今後の実験の方向性 (1)よりノイズの少ないシステムを構築する。(2)20-30分周期の電気活動が記録されたものにGnRHの蛍光免疫組織化学を行い,GnRHニューロンの位置と電気活動との関係を検討する。(3)環流液中のGnRHを測定し,電気活動との相関を検討する。
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