申請者は細胞外からのシグナルがcAMPやカルシウムの上昇を介して、核内の遺伝子発現を制御するシグナルカスケードについて研究を行ってきた。転写因子CREBはA-kinaseによって活性化されるが、最近他のシグナルカスケード(CaM kinasesやMAP kinases)でも活性化され得る可能性が見出されている。そこで、本研究では、互いに異なる蛍光スペクトルを有する2種の緑色蛍光蛋白質Green Fluorescent Protein (以下GFPと略す)とCREBリン酸化ドメイン(以下KIDと略す)を繋いだキメラ蛋白を作り、KIDのリン酸化を蛍光スペクトルの変化としてモニターすることにより、細胞内での転写因子CREB活性化をリアルタイムでかつ定量的に観察することを試みた。このキメラ蛋白cDNAを組み込んだpQEベクターを導入した大腸菌から精製したキメラ蛋白が、CREBと同程度にA-kinaseなどでリン酸化をされることをin vitroで確かた。リン酸化の前後での蛍光変化を蛍光スペクトロメーターで調べたところ、リン酸化による蛍光変化が認められた。今後このキメラ蛋白が細胞内でのA-kinase活性のモニターに使えるか否か検討していく。
|